値上げと賃上げは「粗利益」でつなぐ―社員に還元できる会社の数字の見方

原材料費や人件費が上がるなか、「値上げしたいが顧客が離れそうだ」「賃上げしたいが毎年続けられるか不安だ」と悩む中小企業経営者は少なくありません。

しかし、値上げと賃上げは別々の問題ではありません。両者をつなぐ共通の数字が「粗利益」です。顧客に届ける価値を高め、適正な価格を受け取り、増えた粗利益を社員へ還元する。この流れを数字で設計することが重要です。

売上が増えても、利益が減ることがある

売上が伸び悩むと、値引きは即効性のある打ち手に見えます。ところが、売上だけを見て判断すると危険です。

例えば、売上1億円、粗利益率60%、固定費5,000万円の会社は、粗利益6,000万円、利益1,000万円です。値引きによって売上が1億1,000万円へ増えても、粗利益率が50%へ下がれば、粗利益は5,500万円、利益は500万円になります。

売上は10%増えたのに、利益は半減します。しかも受注、製造、配送、問い合わせ対応が増えれば、現場は忙しくなります。「売上は増えたが、お金は残らない」という状態です。

値引きが悪いのではありません。新規顧客の獲得、継続購入への入口、在庫処分など、目的と回収見通しが必要なのです。

値上げは顧客数ではなく、残る粗利益で判断する

値上げで一部の顧客が離れても、利益が減るとは限りません。先ほどの会社が、値上げ後も売上1億円を維持し、粗利益率が65%になれば、粗利益は6,500万円、利益は1,500万円です。

見るべき数字は、顧客数や売上だけではありません。値上げ後の売上、粗利益、利益を分けて試算する必要があります。

ただし、会社の都合だけでは顧客は納得しません。「原価や人件費が上がったから」ではなく、「購入後に何が良くなるのか」を伝えることが欠かせません。時間が短縮される、失敗が減る、安心して任せられる、今までできなかったことができる―顧客の困りごとをどれだけ軽くできるかが、価格の根拠になります。

賃上げは月額ではなく、年間総額で考える

賃上げは、一度限りの支出ではなく、翌年以降も続く固定費です。

まず「一人当たり月額昇給×12か月×対象人数」で年間給与増加額を出し、さらに賞与や会社負担の社会保険料への影響を加えます。会社全体の人件費だけでなく、賃金台帳で社員一人ひとりの年収が実際に上がっているかを確認する視点も大切です。

そして、次の式で値上げと賃上げをつなぎます。

値上げで増える粗利益-賃上げで増える年間総人件費=利益への影響

この比較により、「どれだけ粗利益を増やせば、希望する賃上げを毎年続けられるか」という具体的な経営課題に変わります。必要利益や手元資金も確認し、無理のない還元水準を決めることが肝要です。

ビジネスデザイン・パートナーズが支援できること

ビジネスデザイン・パートナーズでは、次のような支援を行います。

  • 商品別・顧客別の売上、粗利益、採算の見える化
  • 値上げ率、販売数量、粗利益率を変えたシミュレーション
  • 顧客の困りごとと提供価値を整理した価格戦略づくり
  • 賃上げに必要な年間総人件費と必要粗利益の試算
  • 必要利益、資金繰りを踏まえた実行計画と月次KPIの設計

値上げも賃上げも、勘や勢いだけで決めるものではありません。数字と顧客価値を結び付ければ、社員へ継続的に還元できる経営へ変えられます。

「値上げの余地を知りたい」「賃上げを続けられる利益計画を作りたい」とお考えの経営者の方は、ビジネスデザイン・パートナーズへご相談ください。

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