利益が出ても資金が足りない会社へ――PL・BS・資金繰りをつなぐ財務マネジメント

「売上も利益も増えているのに、なぜ手元資金が増えないのか」。中小企業の経営者からよく聞く悩みです。原因は、利益を生む力と、利益を現金に変える力を別々に見ていることにあります。収益力基盤を強くするには、損益計算書(PL)で稼ぐ力、貸借対照表(BS)で資金の使い道と調達先、資金繰り表で現金の出入りを一体で管理する必要があります。

1.売上高より「利益を生む仕組み」を見る

最初に確認したいのは、どの商品・顧客・案件が利益を生んでいるかです。売上が伸びても、値引き、材料費上昇、外注費や手戻りで限界利益が薄ければ、固定費と借入返済を支える力は強くなりません。

売上を「単価×数量」に分け、案件別の売上、変動費、限界利益、回収条件を月次で並べましょう。単価改定、低採算案件の条件見直し、工程改善をそれぞれ担当者と期限まで決める。売上増加だけを目標にせず、必要な利益と資金から逆算することが出発点です。

2.BSの左側と右側を同時に読む

BSの左側には現預金、売掛金、在庫、設備など「資金の使い道」が、右側には借入金や自己資本など「資金の調達先」が示されます。現金が多く見えても、短期借入に頼っていたり、売掛金や在庫が滞留したりしていれば安心できません。流動比率や自己資本比率も、数字一つで良否を決めず、資産の中身と回転速度まで確認します。

特に見るべきは、売掛金の回収日数、棚卸資産の滞留日数、買掛金の支払日数です。たとえば売上が増えても、回収が遅れ在庫が積み上がれば、その分の運転資金を先に用意しなければなりません。滞留債権の回収、過剰在庫の圧縮、発注ロットの見直しは、追加融資に頼る前に着手できる改善です。ただし、仕入先への支払を一方的に延ばす方法は、取引関係と供給の安定を損ねかねません。

3.設備投資と借入を「回収期間」で判断する

設備は将来の利益を生む一方、現金を先に使います。投資額だけでなく、稼働率、粗利改善、保守費用、増える在庫や売掛金を織り込み、投資後の営業キャッシュフローで返済を続けられるかを確かめます。長く使う設備を短期資金だけで賄うと、日々の支払いが窮屈になります。

借入の多寡を単純に判断するのではなく、金利と返済額を負担した後に利益と現金が残るかを見ます。好況時に成り立つ計画も、売上減少や回収遅延を置くと姿が変わります。投資前に複数のシナリオを試し、必要に応じて投資時期や資金調達期間を調整しましょう。

4.月次決算と資金繰り表を一つの会議で使う

利益と現金は同時には増えません。掛売上は入金前でも利益に計上され、在庫購入や借入元本返済は利益だけでは把握しきれません。手元資金は「前月末残高+当月の入金-当月の支払」で動きます。月次の利益だけで安心せず、今後の入出金予定と最低必要現金を先読みします。

経営会議では、

①商品・顧客別の限界利益、

②売掛金・在庫・買掛金の増減と回転日数、

③営業活動で生む現金、

④設備投資・借入返済後の現金残高を一枚にまとめます。

予実差の原因を「単価」「数量」「原価」「回収・支払時期」に分け、翌月の具体策を決める。これを繰り返すと、PLの改善がBSと資金繰りにどう効いたかを追えるようになります。

ビジネスデザイン・パートナーズの伴走支援

当事務所では、決算書と月次試算表の分析から、商品・顧客別採算の見える化、運転資金の改善、資金繰り表と利益・資金計画の作成、金融機関への説明、月次の実行管理まで、経営者と一緒に進めます。大切なのは、財務指標を増やすことではなく、現場が変えられる行動と結びつけることです。

「利益はあるのに資金が増えない」「投資や借入の判断に迷う」という経営者の方は、ビジネスデザイン・パートナーズへご相談ください。貴社の数字を、次の一手を決めるための経営情報に変えていきましょう。

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