M&Aは「買ってから」が本番――中小PMIの失敗事例から学ぶ買い手側の5つのリスク

M&Aは成約すれば成功。そんな考え方で企業を買収すると、思わぬ落とし穴にはまります。中小企業M&Aにおける買い手側の失敗事例でよくあるのは、財務やM&Aの契約ではなく、「相手企業を理解しないまま、自社の常識で経営してしまうこと」から起きているという事実です。

■失敗①「自社の常識」を押しつける

地方の飲料メーカーを買収した企業が、夏場の増産を求めたところ、地域ではお盆に休む文化が根付いており、工場長や従業員が相次いで退職しました。

数字上の生産能力だけを見て、「できるはず」と判断したことが原因です。M&Aでは、地域性、企業文化、従業員がその会社で働き続けている理由まで理解する必要があります。

■失敗②「欲しかった人材」が辞めてしまう

資格者獲得を目的として設備工事会社を買収したものの、従業員が残っていた理由は高い給与ではなく、「残業がない」「休暇が取りやすい」「人間関係が良い」という職場環境でした。

買収後に仕事の進め方を急に変えれば、M&Aの目的だった人材そのものを失いかねません。人材目的のM&Aほど、最初は「変えること」より「安心してもらうこと」が重要です。

■失敗③ 顧客・仕入先への説明を後回しにする

50年以上取引してきた仕入先に、株主変更を郵送だけで知らせ、その後3か月間説明に行かなかったため、取引停止を申し入れられた事例もあります。

PMIでは従業員だけでなく、顧客、金融機関、仕入先など重要なステークホルダーへの説明を「誰が・いつ・何を話すか」まで事前に決める必要があります。

■失敗④ 前社長に「何となく」経営を任せる

前社長を副社長や顧問として残したものの、権限・責任を決めていない。あるいは経営方針や目標を示さないまま経営を任せる。

これではPMIは進みません。

誰が経営責任を持つのか。前経営者はいつまで、何を担当するのか。どのKPIを追うのか。経営体制を明文化することが必要です。

■失敗⑤ 「シナジーが出るはず」で終わる

クロスセルを期待して買収したものの、価格政策を現場任せにして2年以上販売が進まなかった事例や、内製化を狙って買収した結果、生産量急増、品質問題、原価管理不足から赤字案件が増加した事例も紹介されています。

「売上が増える」「内製化できる」といったシナジーだけを見るのではなく、それによって増える人員、設備、品質、管理負荷、運転資金まで事前に検証することが重要です。

■PMIは「買ってから」では遅い

これらに共通する教訓は明快です。

①M&Aの目的を明確にする
②相手企業を深く理解する
③経営体制を決める
④100日程度までのPMI計画を作る
⑤KPIと進捗を継続して管理する

DDも「問題がないか」を確認するだけでは不十分です。勤続年数、離職率、給与水準、主要取引先との関係などを、「買収後にどう経営するか」という視点で読み解き、PMI計画へ反映させる必要があります。

ビジネスデザイン・パートナーズでは、買い手企業に対して次のような支援が可能です。

・M&A戦略・買収目的の整理
・買収候補企業の事業性・シナジー分析
・ビジネスDD/PMI視点でのDD支援
・PMIリスク診断
・Day1/30日/100日PMI計画の策定
・組織・権限・前経営者の役割設計
・部門別KPI・採算管理の仕組み構築
・従業員・取引先へのコミュニケーション設計
・月次PMIモニタリング・伴走支援

M&Aで重要なのは、「いくらで買うか」だけではありません。

その会社を買った翌日から、誰が、どのように経営するのか。

ここまで描けて初めて、M&Aは企業価値向上の手段になります。PMIはM&Aのクロージング前のM&Aを検討した瞬間から始まっているのです。M&Aがうまくいくか不安だと思ったら、是非ビジネスデザイン・パートナーズにご相談ください。

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