中期経営計画を作っても、業績が変わらない会社があります。原因は、売上目標だけを掲げ、部門別採算、原価管理、投資判断、資金繰りまで落とし込めていないからです。
管理会計とは、決算書を作るための会計ではありません。経営者が意思決定し、幹部が行動し、現場が改善するための「経営の羅針盤」です。財務マネジメントは、利益計画、資金計画、予算管理、KPI管理、投資判断を一体で運用するものです。
中期経営計画は「目標利益」から逆算する
中期経営計画は、売上目標から作ってはいけません。最初に決めるべきは、3年後に必要な営業利益です。
借入返済、設備投資、人材採用、役員報酬、内部留保、将来のM&Aや新規事業投資を踏まえ、「いくら利益を出さなければならないか」を決めます。
そのうえで、必要売上高、粗利率、固定費、人員数、生産能力、資金繰りを逆算します。これが、管理会計を使った戦略的財務マネジメントの出発点です。
部門別採算管理で「どこで儲け、どこで失っているか」を見る
会社全体では黒字でも、部門別に見ると赤字部門が利益を食いつぶしていることがあります。だからこそ、部門別採算管理が重要です。
実務では、まず売上を部門別、商品別、取引先別に分けます。次に、売上原価、外注費、人件費、物流費、広告費、間接費を可能な限り実態に合わせて配賦します。そして、部門別の粗利、限界利益、営業利益を毎月確認します。
ここで見るべきポイントは、売上の大きさではありません。
「限界利益を生んでいる部門か」
「固定費を回収できている部門か」
「人員や設備を投入する価値がある部門か」
です。
赤字部門でも、将来の成長性や既存顧客維持に必要な場合は残す判断もあります。一方、売上は大きくても、人手を食い、粗利が低く、資金回収も遅い部門は要注意です。感覚ではなく数字で撤退、縮小、改善、追加投資を判断することが大事です。
実務面での原価・減価償却管理を徹底する
利益を改善するには、売上拡大だけでなく、原価管理が不可欠です。実務では、材料費、労務費、外注費、製造間接費を分け、標準原価と実際原価の差異を確認します。
たとえば、材料費が上がっているのか、歩留まりが悪いのか、残業が増えているのか、外注単価が高いのか、設備稼働率が低いのかを分解します。原価差異を見れば、値上げすべきか、生産方法を変えるべきか、外注先を見直すべきかが見えてきます。
また、設備産業や製造業では、減価償却費の管理も重要です。設備投資をすれば利益計算上は減価償却費が増え、資金繰り上は初期投資や借入返済が発生します。したがって、設備別に取得価額、償却年数、年間償却費、修繕費、稼働率、投資回収状況を管理する必要があります。
「設備を買ったから売上が増える」は危険です。設備ごとの採算を見て、稼働率、粗利額、投資回収年数を確認する。これが実務面での減価償却管理です。
投資の意思決定は「回収可能性」で判断する
新規事業、設備投資、人材採用、システム導入、M&A。これらはすべて投資です。投資判断で重要なのは、「やりたいか」ではなく、「回収できるか」です。
実務では、次の順番で判断します。
第一に、投資目的を明確にします。売上拡大、原価低減、省人化、品質改善、納期短縮、新市場開拓のどれを狙うのかを決めます。
第二に、投資額と追加コストを把握します。設備代だけでなく、人件費、教育費、保守費、広告費、運転資金も含めて見ます。
第三に、投資によって増える売上、粗利、削減できるコストを試算します。
第四に、投資回収期間、損益分岐点、資金繰りへの影響を確認します。
第五に、楽観シナリオ、標準シナリオ、悲観シナリオを作り、最悪の場合でも会社が耐えられるかを確認します。
投資は、成長のために必要です。しかし、回収可能性を見ない投資は、会社を弱くします。
月次予実管理で計画を修正する
中期経営計画は、作って終わりではありません。年度計画、月次計画、部門別計画、KPIに落とし込み、毎月の予実管理で修正します。
売上未達なのか。粗利率が悪化したのか。固定費が増えたのか。原価差異が出ているのか。投資効果が遅れているのか。資金回収が遅れているのか。
この原因を毎月確認し、翌月の行動に反映します。管理会計の目的は、数字を眺めることではありません。数字を使って、経営判断を早くすることです。
好業績企業は数字で現場を動かす
好業績企業は、経営者だけが数字を見ているのではありません。幹部、部門長、現場責任者が、部門別採算、原価、投資効果、KPIを見ながら行動しています。
管理会計を使えば、中期経営計画は「願望」ではなく「実行計画」になります。
ビジネスデザイン・パートナーズは、経営参謀として、管理会計の導入、部門別採算管理、原価・減価償却管理、投資判断、中期経営計画の策定、月次予実管理まで伴走支援します。
好業績を実現したい経営者は、ぜひビジネスデザイン・パートナーズにご相談ください。


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