経営改善と事業承継を同時に進める――「現場が回る会社」への変え方

売上は安定しているのに、繁忙期は残業続き。社長が退けば、誰が判断するのかも心配だ。経営改善と事業承継を別々に考えていては、この問題は解けません。事務代行業の事例から、改善を次世代に引き継ぐ方法を考えます。

売上16億円でも、経営の中に残る課題

この会社は官公庁・自治体からの受注が売上の約8割を占め、売上高は約16億円。しかし入札競争で単価が下がり、営業利益率は約8%まで低下していました。受注が特定の月に集中し、社員は長時間労働。一方、閑散期には余力がありました。

仕事を担う外注先は多数登録されていても、実際に稼働できる人や処理能力は把握できていません。営業担当の活動も見えにくく、問い合わせへの対応漏れまで起きていました。さらに、創業社長の指示で回る組織を、実務経験の少ない次期社長が引き継ぐ必要がありました。課題は「残業」「営業」「承継」が別々に存在したのではなく、仕事の流れと判断が属人化している一つの構造にありました。

改善の順序は「余力をつくる→供給力を増やす→受注を広げる」

最初に着手したのは、繁忙期の残業削減です。作業を棚卸しし、社員から100件を超える改善案を集め、担当者と進捗を決めて小さく実行しました。残業の状況を毎日見える化し、翌朝に振り返る。3カ月後には残業が約30%減りました。

次に、閑散期に社員を教育して多能工化を進めました。外注先についても、名簿上の人数ではなく、実際の稼働状況と必要な支援を調べて研修を実施。納期と品質に見合う供給力を増やしました。受注を先に増やせば現場が詰まります。処理能力を整えてから、一般企業への営業や既存顧客からの追加受注に取り組んだことが重要です。

営業では担当者の活動を把握し、共通の窓口で問い合わせを共有しました。その結果、対応されていなかった案件を発見。入札以外の顧客対応も強化し、営業の役割を見直しました。

成功の鍵は、次期社長と従業員が同じ方向を向いたこと

改善の仕組みだけでは人は動きません。次期社長は経営方針を繰り返し伝え、従業員との1対1の対話で意見を聞きました。提案を採り入れ、結果を数字で確かめる過程が、トップダウンから現場が考える組織への移行を支えました。

事例では2年後、売上高は約16.1億円から約19.9億円、営業利益は約1.27億円から約2.15億円に増加。営業利益率も7.9%から10.8%へ改善しました。低価格での受注拡大により限界利益率は下がりましたが、業務改善を続けて固定費を抑え、利益を伸ばしています。売上だけを追わず、限界利益・固定費・残業時間を併せて見るべき理由がここにあります。

ビジネスデザイン・パートナーズが伴走します

当事務所では、業務量と採算の見える化、繁閑差と外注体制の点検、営業活動と顧客対応の仕組みづくり、月次の数値管理、次期経営者への権限移譲と従業員との対話設計を一体で支援します。改善策を計画書で終わらせず、現場で試し、数字で確かめ、次の経営者が運用できる形にします。

「利益は出ているが現場が疲弊している」「承継後に組織が回るか不安」という経営者の方は、ビジネスデザイン・パートナーズの無料相談・お問い合わせからご相談ください。経営改善を、事業承継の準備と同時に始めましょう。

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